倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで①

久しぶりの歴史関係。前から日本の近現代史において、満洲事変を語るのが一番難しいと思っているんですが、最近倉山満さんの「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読みました。それを元に、個人的な疑問点や調べたこと、感想などを書こうと思います。個人的に気になる部分を多く採り上げることになりますので、著者の重点を置きたい部分を無視するかもしれませんし、枝葉末節な著者としてはどうでもいいところへ話が行くことも多くなると思います。ですので本書をちゃんと理解したい方はお買い求めくださいね。長くなると思うので分割して書きますが、まず序章に関しては、それ以降第一~四章の趣旨みたいな感じの内容になってるので、今回はとりあえず、それを更に要約し、次回以降、色々細かく見ていこうと思います。

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無法地帯の満洲での張学良率いる軍閥による不祥事の続発を解決すべく、関東軍柳条湖事件を起こし満洲事変は始まった。世論はそれを支持。時代はデフレ。政治家はスキャンダル探しの足の引っ張り合い。日本人拉致にも外務省は日中友好を掲げて抗議もせず。

 

関東軍参謀本部は対立。石原莞爾の思想とか持ち出すとわけが分からなくなるが、石原もお役所仕事の枠内でしか動いていない。関東軍が行ったのは独走ではなく脱法行為の積み重ねで基本的に法律を守っている。関東軍の脱法パターンは、謎の爆破→自衛のために反撃→政府が不拡大方針を世界に発信→関東軍が軍事行動を停止→謎の爆破→自衛のための反撃、これの繰り返し。全体から見れば石原の暴走は、石原をクビにすれば済む話だが石原を処罰すれば責任の追求が陸軍全体や外務省にまで及ぶから放置した結果。

 

国際法の遵守は明治維新以来の日本の最大の武器で満洲事変の時の大日本帝国国際法的に正しいことしかしてないが、それなのに何故国際世論を説得できなかったのかが問題。

 

コミンテルンは陰謀をするが、コミンテルンが万能なわけではなく満洲事変ではコミンテルンの陰謀は成立しない。

 

明治政府は人口過多の問題を抱え1936年、「満洲開拓移民推進計画」を決議。

 

海外から見れば日露戦争でアジアの問題は一応決着でバルカン問題が主問題で満洲は無関心。日本はアジアで無敵状態。

 

昭和6年関東軍が錦州を爆破。国際世論最悪に。政府は関東軍を引き上げさせ国際世論が持ち直す。日本政府の軍部統制を見て、国際連盟満洲の匪賊討伐権を認めようということになる。幣原外相は情勢をひっくり返したわけだが、その報が届いた12月10日政変が始まり若槻内閣総辞職。東アジアで無敵だから国際連盟が何を言おうが関係なく、満洲事変は国内政治の失敗。

 

満州事変は国際連盟体制の崩壊、日本と世界にとっての悲劇。日本は大国だったが勝手に孤立。日本人の「問題を解決しなきゃいけない病の発露」。なぜ満州国のために世界を敵に回す必要があるのか。そこが満洲事変の本質。「五族協和」とか「王道楽土」とか世界を敵に回してまでやることか。「五族とはどの五族だ」、ユダヤ人の満州移住計画・河豚計画が提唱されたときには「六族になってしまうではないか」とかいう発想になる。

 では次回から勝手なこと書きまーす。

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倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで② - 王蟲の子供
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