倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで④

倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで① - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで② - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで③ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで④ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑤ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑥ - 王蟲の子供

倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑦ - 王蟲の子供 
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑧ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑨ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑩ - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで⑪ - 王蟲の子供

はいはい、4回目でーす。毎回のお断りですが、この本を読んで、一部を要約してそれについての感想とか付随する話をしていく感じですのでよろしくー。

辛亥革命以降、「軍閥混戦」状態で大混乱。チベットはイギリス勢力圏、ウイグルはイギリスとロシアの角逐の場、モンゴルはロシア勢力圏、満洲はロシアと日本の勢力圏。中央政府不在。この状態に対し、満鉄以外の権益以外は干渉せず英米露と協調していこうってのが外務省、関東軍は現地にいて無法状態を何とかしたいので軍事介入したがるが、満州事変までは主流ではない。中華民国が出来て本来は旧清朝の領土を継承することを外国から承認されて国家承認となるが、中華民国は事実上無法状態で条約遵守能力がないので、日露英列強は自分の勢力圏は自分で守ろうということになる。ところがアメリカのウッドロー・ウィルソン大統領は他の列強を無視して自分だけさっさと中華民国を承認して引っ掻き回す。

 中華民国が実質軍閥混戦」状態であったことはこの辺の歴史に多少なりとも興味がある人なら常識でしょう。ウッドロー・ウィルソンが列強を無視してさっさと中華民国を承認したというのは知りませんでした。ちなみに第一次世界大戦の講和会議である、パリ講和会議Wikipediaに下記のような記述があります。

中華民国を「姉妹共和国」としていち早く承認したウィルソンは、外交団や米国人宣教師の影響で中国に強い関心を持っていたが、日本にはほとんど興味や知識を持っていなかった[120]。 

パリ講和会議 - Wikipedia

 この他にもウィルソンの反日的姿勢を書いてあるのですが、だいたいそれに関してWikipediaの記述の出典は中谷直司という人の本のようです。どういう人なのかは情報がほとんどなくよく分かりません。いずれにしてもウィルソンが色々と引っ掻き回したことは確かでしょう。その他は関東軍は現地の無法状態をなんとかしたいので軍事介入したがるが、外務省は英米露の列強と協調的ということを押さえとけばいい感じでしょうか。

次行きまーす。

満洲のことを考えたらドイツがロシアに対して劣勢であるのは良くないが、日本は日英同盟に従ってドイツに宣戦布告。イギリスは当初「来てくれ」「やめてくれ」「やっぱり来てくれ」を繰り返すが結局、欧州には陸軍は派遣せず海軍だけ派遣したが、大きな戦果をあげている。当時の日本人は世界大戦と言わずに欧州大戦と言っている。実態としても世界大戦ではない。日本が世界大戦にさせなかったのだ。

第一次世界大戦における日本は青島と太平洋のドイツ領の南洋諸島攻略は知られてることでしょうか。欧州への艦隊派遣もそれなりに知られてはいるでしょうかね。いずれにしてもどのような意義があったかということはあまり語られることが少ない気がします。今回調べてみましたが、アメリカ西海岸の哨戒活動とかもやってるんすね。

第一次世界大戦下の日本 - Wikipedia

誰だかすっかり忘れましたが、保守論客の誰かが、第二次世界大戦に比して日本は第一次世界大戦で大したリスクを取らず(陸軍を派遣しなかったことかな?)に青島とかとっただけでむしろ卑怯だというようなことを言ってました。実際のところドイツはともかく他の国からはどう思われてたんでしょうね。上記の保守論客は第二次世界大戦の日本の大義を強調したいがための発言かもしれませんが。

では先に進みまーす。

対華二十一箇条要求はその言葉自体がプロパガンダで、14箇条の要求と7か条箇条の希望。14箇条は国際法を守れというだけ。残りの希望は確かに虫のいいことを言っているが、帝国主義の時代では当たり前。ただし汚点と言われるべき点がある。袁世凱に「これを最後通牒という形にしてもらえたら言い訳が立つからそうしてくれ」と言われ、加藤高明外相が最後通牒を突き付けたら、袁世凱が秘密にするとしていたはずの7箇条の希望の部分を「最後通牒でこんなこと言われた」と国際社会に公開、プロパガンダに利用された。

三宅久之氏が、対華二十一箇条要求を読んで、やはりこれは日本が悪かったとテレビで言ってたのを思い出しました。しかし実態は倉山さんの言ってる通りなんでしょうね。多くの人が思ってると想いますが、日本の情報戦は頼りないことこの上ない。分からないけど当時より劣化してそうで恐いっすね。

先に進みます。

ウッドロー・ウィルソンは二十一カ条要求に対して英仏露に四国干渉をしようと持ちかけるが拒否される。英仏露にとって日本は第一次世界大戦において同盟国だがアメリカは中立国に過ぎないから当然。1916年、事実上の軍事同盟である第四次日露協商を結ぶ外相石井菊次郎は「帝政ロシアを潰してはならない」と主張。アメリカは第四次日露協商に文句をつけ、機会均等、門戸開放を申し入れる。自分は中米に武力侵略、南米に経済進出し「ヨーロッパは入ってくるな」と市場を独占しようとしながらあまりにもダブルスタンダード。当然日本は無視。

日本は大戦初頭に青島と太平洋のドイツ領は制圧しているので、自分だけ離脱も可能だが、石井菊次郎は戦勝後のことを考え単独不講和を約束したロンドン宣言へ加入。これは日本外交史において過小評価すぎ。

中華民国はドイツが敗色濃厚になってから宣戦布告するが宣戦布告しただけで何もしてない、この中華民国の肩を持ってたのがウィルソン大統領。ウィルソン大統領に話を持っていくとどんな話もぶち壊されるので、欧州各国もアメリカと話したい時は誰と話せばいいんだ状態に。石井菊次郎はウィルソンと仲が悪かったが正式な国務長官ロバート・ランシングと話をつけたのが、石井・ランシング協定。日本はアメリカの言う中華民国の独立・機会均等・門戸開放の尊重に譲歩し、アメリカは日本の特殊権益を承認するというもの。ウィルソンは激怒、中華民国もそんな拘束は受けないと言い出す。

 この辺りは著者の独擅場というか。「ウッドロー・ウィルソン」と検索すると、今の人類の不幸の90%以上がウィルソンの責任とまでいう、著者の記事が結構上位にいくつか出てきて、他はWikipedia程度のこと以外はなかなか探せません。もともとあまり知らないので個人的な宿題ってとこです。ところでこの90%この人のせいとか、著者は特定の人を全否定するようなことがしばしばありますが、どうなんでしょうね。麻生太郎さんのことも「討伐されるべきである」とか大仰な言い方をしますけども。井上準之助についてはその政策について大いに批判しながら、高い評価を与えている部分もあるのに。井上準之助が蔵相だった時代に生きていたらやはり「井上準之助は討伐されるべきである」と言ったんだろうか。批判するのはもちろんいのだけど「その麻生が「老後2000万円問題」で失策をした。とにもかくにも、麻生を討て! その結果、安倍内閣がどうなるかなど、考えるな! 増税阻止、最初で最後のチャンスだ!」とまで言ってしまうと信者的な人しか付いてこなくなってなってしまうのではないかという気がします。当然他の保守論客に対しても舌鋒鋭いのですが、まあそういうことも色々考えた上での発言だと思っておきましょう

【人道主義者、平和主義者などと紹介されるウィルソン大統領。実は今の人類の不幸の最低9割がウィルソンのせいである。◆日本人はアメリカ大統領を勘違いしている②】 | BEST TiMESコラム

私は一度でも麻生太郎を絶賛した人間を信用しない/倉山満 | 日刊SPA!

 とりあえずここまでで序章及び第一章は終了です。第四章まであるこの本。このシリーズやっと④なので、このペースだと余裕で⑩超えそうですね。着いてきていただけますでしょうか。。。

 

倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで① - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで② - 王蟲の子供
倉山満「学校では教えられない歴史講義 満州事変」を読んで③ - 王蟲の子供
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