最近朝鮮事情所感10

最近朝鮮事情所感1 - 王蟲の子供
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負商褓商について。なんじゃそりゃって感じですが、前にもちょっと出てきたように武装化した行商人のことらしいです。キャラバンみたいなイメージでしょうか。しかしこの本の最初でも名前が出て来るほどで、重要そうなので長めに引用します。

今を去る180年の昔、朝鮮憲文王の時に、満州の大宗が大兵を以って朝鮮を侵した時、朝鮮国中の負商褓商各隊らが同士を説得し、軍用金や兵糧を献納し、なお進んで輺重の役もつとめたので、王は深く彼らの義を嘉し、それからというものその隊団を奨励し、官職を設けてその統一を然らしめたのである。その彼ら負商褓商隊は平生は小売業者の団体であるが、一旦事あるときは糧食や軍器の輺重隊となり、軍国上大切な団隊となったのである。朝鮮の国柄を考えると彼らの義理は中々関心である。

それから今の王様の世になって、今から40年程前の耶蘇教禁制でフランスと衝突。フランス艦隊が漢江に進入して攻めて来た時、彼ら負商褓商の団体が義勇兵となって立ち働いたことがあった。その攻勢大活躍の為め、当時の摂政大院君がこれを褒め称え、一種の軍隊組織の様にして特権を与えたのである。

(中略)

 この様なことで、彼らは前には純粋な商人で義侠の働きもあったが、元が利益一片の商人の事でもあり、優待されるだけ付け上がって、その特権を濫用しては他の商人をたり、兵器を有する所からやもすれば暴力を用いるに至り、政治上の運動の如きも彼らの力によって動かされることが多くなった。 遂には政府でももてあますようになり、明治31年の12月には独立党と褓負党の騒ぎで、京城は大騒ぎとなって、政府ではどうすることも出来ないで、一旦その特権を奪ったけれども、尚その餘弊を存して、やもすれば大騒ぎを見るというような有様である。

おお、かの丙寅洋擾で活躍した人たちですか。李氏朝鮮が攘夷を成し遂げちゃって更に開化から遠のいた例の。ブリタニカ国際大百科事典の褓負商の項目を一部引用しましょう。

朝鮮王朝末期にいたり政治団体に動員されることもあり,光武2 (1898) 年には守旧派の皇国協会の行動隊として独立協会を襲撃し,その後は共進会と称し尊王改革を標榜,あるいは一進会と呼応して日韓合邦論を主張した。

褓負商(ほふしょう)とは - コトバンク

 守旧派だったのが日韓合邦論?まあ日本でも尊皇攘夷が開国派にということがありますしね。(この比較が適当かはともかく。)日清戦争前後だけでも朝鮮では誰が親日親中親露かくるくる変わって訳分からなくなりますしね。ま、朝鮮の党派については前に書いたところがとても参考になりますね。余談ではありますが、ある意味で国益(私益かもしれないが)によって立場を変えることは当然想定すべきことであり、かつて親日であった人が反日になることを裏切りと憤慨するのは国際政治では愚かなことなのかなと思ったりもします。

 

朝鮮の歴史上専門的軍人でないのに、その軍事的面が評価されてるのというとやっぱ花郎ファラン)ですか。ドラマでもロマンティックに描かれてますが、負商褓商を主人公にしたのも作ればいいのにね。もりもり創作盛って水滸伝みたいにしたらどうでしょう。

 

この後、朝鮮での商売についてかなりの分量を割いて書いていますが、国益に関して述べているところを中心に抜粋。

そのほかまだ数えれば色々あり、中には日本人に取っては甚だしい不利な習慣が行われていることもある。しかしこれらは日本の鉄道や郵便電信などが朝鮮内地一般に行われるようになり、自然に日本の勢力が扶植されるにつれ、段々改まっていくのは申すまでもないことで、それらは日本の力一つやり方一つでどうにでもなるのである。

 

京城に於ける外国人輸入貿易は日本・支那両国人が主で、また輸出貿易は今では殆んど全て日本人の独り舞台というよりか、第一銀行京城支店の一手に帰しているといってよい。

(中略)

日清の戦役を経て、朝鮮の政治社会から支那の勢力をかなり挫いたが、しかしその商業上の勢力は容易に退けることが出来ないのみか、一時衰えかけて居た彼らの勢力は大いに持ち上がってきて、日本を凌ごうとする有様があるのは、返す返すも油断のならぬことで、ここに日本人に一段と奮発を要するところである。

 

朝鮮と日本との貿易は明治27、28年以来非常に進歩したとはいえ、朝鮮に対する商権は十分に拡張されたとはいえない。(中略)…日本から朝鮮へ売り込みつつある商品と、日本が朝鮮から買い込みつつある商品との差額は非常に多いので、それだけ日本の不利益となりつつあるのである。

 

(中略)…しかしこれとてやもすれば支那人に追いまくられようとする傾きがあり、また麻布の如きは殆んど支那の占有に帰している有様ではないか。 

 

ことに輸出第一の農産物の買入方法についても、日本商人の間に一致を欠いているたため、得られる利益も十分に得ることが出来ない有様で、その利益はいわゆる漁夫の利になって朝鮮人に帰しているのを見ては残念に思わぬものはあるまい。 

 

そうしてその貿易取引の有様は真正に朝鮮との貿易ではなくて、殆んど全部居留地取引ともいってよい。居留地の日本人相手の貿易で、言葉を換えて言えば、日本の朝鮮貿易は対外貿易ではなくて、対内的居留地貿易である。 

(中略)

すなわち在留日本人は朝鮮の富で生活しているのではなくて、朝鮮に居りながら日本の富によって生活しているので、したがって日本と朝鮮との貿易上に於ける差し引きの差は、日本から朝鮮に対して支払ひつつあるといってよい有様である。 

 

であるから日本の貿易商も朝鮮にいる日本商人も、深くこの点に注意し、真正に対外貿易を拡張して日本の利を起こすことを考えなくてはならない。今は朝鮮経営の大責任はわが日本の肩にあるにも拘わらず、今日のこのような有様では、実に前途が思いやられる。これについても第一に要件は商業道徳や信用の発達、商品の改良、および取引法の改善などが急務である。これらについて最も注意すべき主なる事項を次で述べようと思う。

 がんばれニッポン!って感じですね。新興国日本らしい希望があります。この後「日帝36年」が始まるわけですが、どれぐらいの利益を上げられたのか。この点に関して反対の主張の記事をそれぞれ張っておきます。

池田信夫 blog : 植民地支配はもうかったのか

日本の朝鮮統治は赤字を貢ぎ莫大な資産を残した説:データで見る植民地朝鮮史

ところで池田信夫の書いてるように植民地は儲からないので放棄しようという主張は戦前からあり、石橋湛山が有名ですね。石橋湛山三・一運動に理解を示してたからか、私の高校の朝鮮大好き先生が高く評価してましたが、そんなに今の日本のリベラルのような非現実的な人物ではないので、その主張には傾聴すべきところが多いのではないかと思います

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