最近朝鮮事情所感3

最近朝鮮事情所感1 - 王蟲の子供

最近朝鮮事情所感2 - 王蟲の子供

京城の様子について書いてある部分ですが、国際関係について参考になることが書いてあるので長めに引用します。

京城は特に外国人の為にその居留地域をきめた専管居留地というものはなくて、城内至る所に何国人でも自由に雑居することが出来るようになっている。いわゆる雑居地である。 

 

この雑居地制は支那のやり方から由来している。元々支那は朝鮮を自分の属国のように取り扱い、大国の威をもって朝鮮にのぞみ、別に通商和親などの条約を結ぶこともせず、ただ貿易章程というものを定めて京城の開市を約束させた。また国境においては義州・会寧両府の開市をさせ、朝鮮と条約を結んで貿易をしている日本やアメリカにはこれが許されず、輸入税のごときも支那だけ低い率でやっていたのである。 

 

ほかの条約国は朝鮮に公使を置いているのにも拘わらず、支那は別に公使を置いてもいない。かの名高い日清戦争の時の哀世凱でも朝鮮駐箚公使のように言う人もいるが、あれは公使ではなくて、欽差大臣とか何とかいう名義であったのである。

 

ところが明治16年に英国やドイツなどが朝鮮と条約を結び、輸入の税率も京城の開市も支那と同様にしたので、その年の末から我政府も朝鮮政府に迫って、最恵国条約によって貿易の規則を改正して各国の間に不釣合いのないようにと申し込んだのである。 

 

時の公使・竹添進一郎氏は度々朝鮮に迫って、英韓条約の条文を引き合いにだし大いに論じかけたけれど、朝鮮政府は色々とほかの事にこじつけて日本の要求を容れないものであるから、常時京城に在留している日本人は非常に残念がって不平を唱えていた。しかし、竹添公使はいよいよ我が正当の要求を容れなければ覚悟する所があると気勢を示したので、朝鮮政府も大いに恐れて、とうとう京城の雑居は勿論のこと、永らく日本の要求を拒んでいた貿易規則の改正をも遂に断行することになったのである。

条約関係はなかなか難しいけれども、清国の朝鮮に対する属国扱いというのはよく分かりますね。貿易章程というのはこれのようです。

中朝商民水陸貿易章程 - Wikipedia

日本は1876年に日朝修好条規という不平等条約を朝鮮と結んでるのは確かですが、その後結ばれた列強と朝鮮との条約とはどう違うんでしょうか。いまいちよく分からなかったのでそのうち調べるか。英韓条約のWikipediaなど見ても日朝修好条規と比べて説明が簡素すぎ。

日朝修好条規 - Wikipedia

英朝条約 - Wikipedia

いずれにしても日本人は不満に感じてたんでしょうかね。

 

他の記述としては居留地は決まってないものの実際にはある程度固まって住んでおり、日本人の居留地居留地民債を起こして他と違って不潔じゃないことなど日本の機関、設備の充実を書いています。飲料水について林田亀男という人が私設で水道を作ったらしいのが面白かった。

 

次に開城について。高麗の首都だったので古跡から発掘される焼き物の素晴らしさなどが書かれている。当時は既に朝鮮の焼き物は粗悪なものだったようで、朝鮮人の使ってるもので良いものは日本製であり、これを見て愉快に思う一方、一層鋭意に改良しなければならないと気を引き締めています。

 

次に初めて知って興味深かったところ。

前に述べた通りこの地は高麗の旧都で、したがって多く残っている高麗朝の遺臣一族らは、義として李朝に使えるのは好まないというところところから、自然と皆商業に従事するという傾向がある。だから朝鮮内では比較的活気を帯び進歩的な有様が見えるのである。彼らはセッセと商業を勉強して、京城政界のゴタゴタなどその下らない喧嘩を冷たい目で見ているのである。 

 なるほど。朝鮮北部に一進会会員が多かったのもこのような背景があるんでしょうかね。著者は好意的に見てるようです。

 

次に平壌。さほど興味を惹かれる記述はなかったが最後にこんなことが。

平壌第一の名物は美人で、朝鮮の名古屋だと言う人があるくらいで、京城の宮中に勢力を持っている官妓(宮廷に仕えて歌舞を行った妓女。朝鮮の妓と舞いの章で詳細)は大抵平壌から出るので、官妓養成の学校まであるという。なんとも奇態な話ではないか。 

 名古屋と言えば今は3大ブスの産地と言われてしまってるようですが、当時は美人の産地とされてたんでしょうかね。喜び組も多く排出してるんでしょうか。

 

次に大邱と江景について書かれてるが日本の影響が及び朝鮮人もこうもり傘を持つようになったことなどが書かれてる。この手の記述は他の都市と大同小異なので省略。

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